思い出し日記 8/21(日)

この5日ほど前に夫の兄から電話があって、介護施設にいる義父の肝臓の数値が悪くなったので
系列の病院に入院したとのこと。
これまでにも同じようなことが何度かあったけど、その度に義父は強靭な回復力を見せてくれた。

娘のバイトのない日に合わせて、この日4人そろって義父を見舞った。
子どもたちがおじいちゃんに会うのは申し訳ないくらい久しぶりのこと。特に娘は。

認知症の義父は耳はよく聞こえているので聞き直しもほとんどなく普通に会話ができる。
その時によって“お気に入りワード”があって、普通の会話が途切れた時にそのワードが
何度も飛び出す。

例えば日によって、「よう来てくれたなぁ」  とか
「仕事はうまくいってるのか」  とか
「何か困ったことないか」 とか
親心を覘かせてくれるひと言は、何度繰り返されても嬉しかったりする。

この日、4人そろって病室に入った時の義父は少し興奮していたので
いったん子ども達を外に出し、落ちついた頃にもう一度中に呼んだ。
興奮させないようにじわじわとふたりの孫を紹介し、まずは息子に握手させながら
「よく空手の試合を見に来てもらったas●kiです」

次に娘と握手と握手させながら
「よくピアノの発表会に来てもらったyu●ikaですよ」とまるで初めて会った時の自己紹介の
ように説明すると

「嬉しいわあ」と言って握手しながら泣き出したおじいちゃん。
私達はおじいちゃんの泣き顔を見て、嬉しいやら辛いやらの苦笑い。
いや、そんな気持ちをごまかすように笑っていたような気もする。

そしてその後、「嬉しいわあ」はこの時のおじいちゃんの“お気に入りワード”に登録され
何度も何度も「嬉しいわあ」を繰り返してくれた。

「嬉しいわあ」を一番最初に発した時は、確かにおじいちゃんの真の気持ちだったに違いない。
お気に入りワードは、何度も何度もおじいちゃんの気持ちがこだましているように思えてきた。

++

この翌日、義兄から電話があって
「ごはんが食べられるようになったから予定よりも退院が早くなりそう」とのこと。
その数日後に義父は無事退院し、第2の住まいとなった介護施設に帰られた。

明日8/30は義父の誕生日で、87歳になられる。